「開放感」は
単純に天井を高くしたから出るというものでもなければ、
単純に部屋を広くしたから出るというものでもありません。
もちろん、それらは開放感を出すための
有効な手段であることに違いはないのですが、
想定通りの開放感を得るためには、
それをアシストするいくつかのルールが存在することも
知っておかなければいけません。
こんにちは。
eguken myhome studio 江口です。
まず1つ目のルールが、
「可能な限り凹凸をなくす」ということです。
空間的にも仕上げ的にも、です。
空間的なところで言うと、
開放感を感じたい場所、
つまりリビングダイニングキッチンは
出来るだけ直線的なラインで整えるということですね。
そしてその上で、
その空間に存在する突起物を可能な限り少なくすることも
かなり大切な要素となります。
窓枠、ドア枠、巾木、スイッチ(コンセント)
といった部材はもちろん、
カーテンやカーテンレール、照明器具、
インテリア家具なども含めて、です。
いわば目に飛び込んでくる情報量を出来るだけ減らす、
というわけです。
2つ目のルールが、
「視線の抜けをつくる」ということです。
インスタなどでよく紹介されている
家具の高さを低めで統一するのもこのためですが、
弊社では、視線の抜けをつくるために
まずカーテンがいらない家にしています。
カーテンがあるとそこで視線が止まってしまい
全く抜け感が感じられないからです。
そして、それと同時にしていることが
闇雲に天井を高くするのではなく、
天井・ドア・窓の高さを統一するということです。
ドア上に出来る垂れ壁がなくなれば
部屋が続く限り視線が抜けるし、
カーテンがない窓の上に出来る垂れ壁がなくなれば、
空にまで視線が抜けますからね。
そして、その上で弊社が決めている3つ目のルールが
「白を基調した内装」です。
壁の色や天井の色、
そしてドアの色を白で統一すれば、
光の拡散効果が最も期待出来るからです。
イメージ的には外から入ってくる直射光や天空光を
白の反射効果で拡散することによって、
ムラなく家全体を明るくするという感じです。
かつ、ドアと壁を同じ白で統一すれば、
ドアと壁がまるで一体かのように馴染み、
より直線的なラインを出してくれます。
この3つのルールを全て取り入れれば
コストをかけて天井を高くしなくても、
また過剰にリビングダイニングキッチンを広くし過ぎなくても、
適切な明るさと充分な開放感が感じられると同時に、
心が落ち着く空間を得ることが出来ると思います。
もちろん、コストを厭わないというのであれば、
この3つを全て取り入れていただいた上で天井を高くし、
リビングを広くしていただいてもいいんですけどね。
というわけで「開放感」にこだわりたいという方は、
この3つのルールを覚えておいてくださいね!
それでは、、、
部屋に必要な採光や換気は
建築基準法に定められている基準に従って計算するのですが、
この基準をクリアしたから充分な採光や換気が取れているのか?
と言うと決してそうではありません。
その多くの窓にはカーテンが設置され、
外から入ってくる光を遮断するからです。
また、カーテンが必要な窓は開けることすら難しいからです。
その上、煩わしい直射光を遮断するために
シャッターまで閉めようものなら
もはや、その窓は窓としての機能を
一切果たさない状態と化してしまいます。
そんなわけで採光と換気に関しては、
決して建築基準法がどうのという話だけで考えるのではなく、
実態レベルで考えなければいけません。
残念なぐらいに薄暗くて空気がどんよりとした
家を建ててしまわないためにも。
こんにちは。
eguken myhome studio 江口です。
この問題を解決するためには、
そもそもカーテンが必要のない窓を
どうすればつくることが出来るのか?
を考えなければいけません。
どのようにすれば、
採光や換気を確保出来ると同時に
プライバシーも守れる窓に出来るか?ということです。
例えば、一般的に窓の高さは
床から2mを天端として
そこから70cm〜90cmの高さの窓を設置することが多いのですが、
この窓の高さは家の中が外から非常によく見える高さであるため
外からの視線が気になりカーテンを設置せざるを得なくなります。
また、リビングをはじめとした南向きの窓に関しては、
南からの直射光を取り入れたいあまりに大きな窓を設置しますが、
窓の向こうに視線を遮断するものがない場合、
外からの視線が気になり、
これまたカーテンを設置せざるを得なくなります。
ゆえ、弊社では床までの大きな窓を設置する場所は、
外からの視線が気にならないところだけに限定しているし、
それ以外の場所の窓に関しても
外からの視線が気にならない高さに設置したり、
外からの視線が気になる場所に設置せざるを得ない場合などは、
透明ガラスではなくフロストガラス(曇ガラス)を使うなど、
視線を防ぐためのカーテンが必要ないように工夫しています。
あ、そうそう。
外の地面の高さは家の中の床の高さよりも約60cm低く、
窓の高さを低くすればするほど外から覗かれやすくなるので、
これも建てる前に知っておいた方がいいかと思います。
そんなわけで窓は1つ1つ立地環境を加味しながら
高さ、形状、ガラスの種類などを丁寧に決めていくわけですが、
これが出来れば予定通りの光が家の中に入ってくるし、
いい気候の時期には心置きなく窓を開けることが出来るし、
開けたままにしておくことも出来ます。
また、プライバシーが担保された透明ガラスからは
外の様子はもちろん、光の動きや四季の移ろい、
そして空を眺めることが出来るので、
圧巻の開放感と贅沢な時間を
感じていただくことも出来ると思います。
いかがでしたか?
快適な家にするために
どれだけ窓が重要な役割を占めているのか
お分かりいただけたのではないでしょうか。
なので、間取りや動線ばかりに気を取られ過ぎず、
窓のことも同じぐらいよく考えながら
設計図をご覧いただけたらと思います。
それでは、、、
南向きの土地は家を建てる多くの方から
欠点のない万能の土地だと思われがちですが、
決してそんなことはありません。
例えば、よほど広く土地を買わない限り
駐車場と庭がいっしょくたになり、
庭のプライバシーが担保しにくくなると同時に、
庭で遊ぶ子供たちの身の危険が高くなります。
あるいは、安全性と防犯性を担保するために
塀や門をつくるとなればその分外構費が高くなります。
また、南向きの土地は
庭のみならず家の中もプライバシーが担保しにくいという
リスクを最も秘めています。
南向きの土地を買った以上、
部屋の向きも窓の向きも出来るだけ南にしなければいけない
というマインドが発動するからです。
結果、その状態の中で
プライバシーを担保する方法を模索するしかなくなるのですが、
その方法として用いられるカーテンやシャッターは、
窓から入ってくる光を閉ざすという役割まで果たしてしまいます。
つまり、明るいはずなのにあまり明るくなくなってしまう、
あるいは暗くなってしまうというわけですね。
その上、土地はもちろんのこと、
家や外構も南向きの土地が一番高くなりやすいですしね。
こんにちは。
eguken myhome studio 江口です。
という風に
たとえ最強と言われている南向きの土地でさえも、
その他の土地同様に
それなりに欠点を持ち合わせているのですが、
南向きの土地の最も厄介なことが
それ以外の方角の土地に比べて
この解決策を講じるのが難しいということではないでしょうか。
「採光」と「プライバシー」を両立するためには、
西・東・北同様に道路面からの採光に頼らない
という方法を用いるのが最も良い解決策なのですが、
「せっかく南向きを買ったのに!」
という考えが確実にそれを邪魔するからです。
ゆえ、個人的にはそのリスクを未然に防ぐために
そもそも南向きの土地をオススメしないようにしています。
✔️プライバシーの担保が最優先
ここまでお伝えしたように
南向きの土地が抱える一番の問題は、
採光方法を単純に考えるとプライバシーが担保されなくなること、
そしてその解決策に多額の資金を
突っ込まないといけないこと、です。
ゆえ、それらを解決するために弊社では、
間違いなく外から家の中が見られない立地じゃない限りは、
南向きの土地においても西・東・北の土地同様に、
家の正面には基本窓を設けないというスタンスを貫いています。
土地が広い場合、
その解決策は「中庭」となるでしょう。
そして、土地が狭い場合、
その解決策は「吹抜け」となるか、
あるいは「吹抜け」と「中庭」の併用となるかもしれません。
これらの方法は、南向きの土地においては
とっても意味がなく勿体無いことのように映るかもしれません。
また、友人や親御さんに図面を見せようものなら、
全否定されるかもしれませんし、
大なり小なり家のコストは上がってしまうかもしれません。
ですが、これらがもたらす恩恵は
安定した採光と開放感はもちろん、
家の中と庭のプライバシーがしっかりと担保されたことで
安心して過ごすことが出来るようになることです。
かつ、カーテンやシャッターといった
付属部材にコストをかける必要がなくなり、
また、塀や目隠しといった余分な外構工事にも
コストをかける必要がなくなり、
その分、家づくりの予算を落とすことが出来ることです。
なので、こういったことも踏まえた上で
土地選びをしていただければと思います。
きっと、土地探しの幅が確実に広がるはずですから!
それでは、、、
土地選びにおいては
東西南北のうちで「北」という方角は最も敬遠される土地ですが、
一方で建築業界では形状によっては
「最悪」にもなれば「最高」にもなるとも言われています。
奥行きが浅い場合、
つまり南北の距離が短い場合だと
ただただ日当たりが悪くなってしまうだけですが、
奥行きが深い場合だと日当たりに問題が生じにくい上、
プライバシーが担保された庭をつくることが出来るし、
室内のプライバシーも庭同様に担保されるからです。
つまり駐車場と庭が別々になると同時に、
庭で遊ぶ子供たちが道路に飛び出す心配がないため、
安心して庭で遊ばせることが出来るということ。
そして、人目を気にすることなく家の中で生活しやすくなるし、
庭でも遊びやすくなるし、
外に干した洗濯物も人から見られにくくなるというわけですね。
ゆえ、北向きの土地に関しては、
一概に良し悪しを語ることが出来ないのですが、
ただ一つ奥行きが浅い場合でも、あるいは深い場合でも
「北向きの土地ならでは、の問題」というものが実は存在します。
こんにちは。
eguken myhome studio 江口です。
その問題は、
「外観が美しくなりにくい」ということです。
日当たりを優先すれば部屋が南に配置されるため、
階段や水回りスペースなどが自ずと家の正面となる
「北」に配置されることになるからです。
つまり、高さ・サイズ:形状がバラバラの窓が
家の正面に並ぶことになり、
これが美しさを損なう原因となるし、
それに加えて換気扇も北に設置せざるを得なくなり、
これらが家を汚していく原因となるから、というわけですね。
その上、便利だからと勝手口ドアまで
家の正面につけようものなら、
ただただ生活感の塊を周りに披露することになりますしね。
ま、そもそも家の顔となる表に
裏口の象徴である勝手口をつけること事態が
間違った考え方なんですけどね(笑)
以上の理由から、北向きの土地は
外観の美しさを整えるのが難しいという問題が発生しやすい
というわけですね。
✔️美しさを整える工夫
この問題を解決するためには
「南にリビング、北に水回り」
というなんとなく家の基本となっている
この固定概念を頭の中からリセットしなければいけません。
極端に言えば「北にリビング、南に水回り」
でも全然良いんじゃないかと思えるようにするということですね。
例えば、北の筋にリビングをつくり、
真ん中の筋に中庭をつくり、
南の筋に部屋や水回りをつくると仮定します。
この場合、
南に建つ隣の家から充分な距離を開けたところに
リビングをつくることが出来ると同時に、
リビングの窓を南向きでつくることが出来るため、
直射光がほぼ邪魔をされることなく
入ってくるのは間違いありません。
また、南だけじゃなく
東や西に建つ建物からも充分な距離を開けた場所に
中庭の東や西の窓をつくることが出来るので、
1日を通して採光に苦しむことはまずないと思います。
その上プライバシーが担保された中庭の窓は
カーテンをつける必要もありませんしね。
これが出来れば外観は一気に美しくなります。
リビングの採光を道路面に設置する窓に頼る必要がなくなるし、
水回りや部屋が正面(北)ではなく
隣の家が建つ東・西・南に配置されることになり、
換気扇やエアコンなどが全て隠せるようになるからです。
「中庭」からの採光があれば、
部屋や水回りへも直射光はもちろん、
反射光や天空光なども入ってくるため、
思っている以上に明るくなりますしね。
というわけで今回は、
北向きの土地で奥行きの深さに関係なく
採光と美しい外観を担保する方法
についてお伝えさせていただきました。
それでは、、、
東向きの土地が持つ特徴の一つに
西向きの土地同様に
「日当たりに難があることが多い」ということがありますが、
忌み嫌われる西日とは違い
爽やかな朝日を採り込みやすい東向きの土地は、
西向きの土地ほど悪いイメージはないと思います。
とはいえ、
道路面となる東面に大きな窓をつくってしまうと
プライバシーと防犯を悪くする恐れがあると同時に、
それをカバーするために外構工事費用もアップしやすいことから、
弊社では、東向きの土地の場合でも西向きの土地同様に
道路面からの採光に頼らずとも
家の中が明るくなるように設計しています。
こんにちは。
eguken myhome studio 江口です。
では今回は東向きの土地の場合、
日当たりの問題をどのように解決するのか
お伝えしていきたいと思います。
「平屋」が建てられるぐらい
土地が広い場合(55〜60坪)は西向きと同じ解決策であり、
それは前回お伝えさせていただいたので、
今回は「平屋」が建てれそうにない
少し狭い土地の場合の解決策についてお伝えしていきたいと思います。
✔️一般的な解決策
土地が狭くなればなるほど
南に建つ家との間に距離を開けることが難しくなるため、
一般的には道路面である東から採光の補填をしようとします。
ですが、東面に大きな窓をつくると
外から家の中が丸見えになることから
それを遮断するためにカーテンを設置することになりますが、
その目的で設置されたカーテンはずっと開けることが出来ないため、
その方法では充分な光を家の中に取り込むことが出来ない
というのが現実です。
つまり、この方法では充分な採光を
家の中全体に届けることが出来ないというわけです。
✔️弊社の解決策
ゆえ、弊社では土地が狭い場合
道路面には基本窓を設けないようにしつつ
「中庭」をつくるという方法か、
「吹抜け」をつくるという方法か、
あるいはその両方をつくるという方法によって
日当たりの悪さ問題を解決するようにしています。
「中庭」という手段は、
南に建つ家から採光を取りたい窓まで充分な距離が確保出来るから。
「吹抜け」という手段は、
より高い位置から採光を取ることが出来るし、
深いところ(北の方)まで日差しを入れることが出来るため、
南の建物近くにリビングを配置することが出来るようになるから。
端的に申し上げるとこのようなメリットが存在するからです。
そして、これらの手段によって採光が確保出来れば、
プライバシーや防犯が担保され外構工事費用が大幅にカット出来ます。
また、外周面の窓に頼らずとも採光が確保出来るとなれば、
周囲の建物の有無に関係なく
敷地いっぱいに建物を配置することが出来るようになります。
結果、可能な限り1階により多く部屋とより多くの収納を
配置することが出来るようになります。
つまり、2階部分を最小限にすることが出来るので、
2階建てが引き起こす様々な欠点も
最小限に出来るというわけですね。
洗濯の動線に無駄が出来る問題。
子供が自分の部屋を使いにくい問題。
結果、リビングが散らかりやすい問題。
掃除の手間がかかりやすい問題。
足腰が悪くなった時、住みにくい問題。
といったことが、です。
このように、土地が持つ問題というものは
設計によってほぼ100%解決することが出来ます。
そして、その解決策によって暮らしやすさやコストの問題なども
同時に解決することが出来ます。
ぜひ、これからの
家づくりの参考にしてみてください!
では次回は北向きの土地の活かし方」について
お伝えしていきたいと思います。
それでは、、、
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