いつ起こるか分からない東南海大地震に備えて
津波のリスクがない土地を選び、
大きな揺れから身を守ることが出来る
耐震構造にしたいというのが、
これから家を建てる方に共通した大切な要望だと思います。
そして、それを実現するために
耐震等級3を取得することや制震ダンパーをつけることが、
現在の家づくりでは当たり前になっているのですが、
それ以上に大切なことが
バランスのいい家を建てることではないでしょうか。
つまり耐震等級3や制震ダンパーによって
高い安全性を担保するより前に
そもそもバランスのいい構造に設計すべきなのではないか
というのが僕の持論です。
こんにちは。
eguken myhome studio 江口です。
というわけで今回は
知っておいていただきたいことについて
✔️バランスが悪くなる理由
家のバランスが悪くなる一番の理由は、
「2階建てありきの間取り」だと思います。
なぜそれがダメなのかと言うと、
1つは上下のバランスが悪くなるから、
そしてもう1つは南北のバランスが悪くなるから、です。
上下のバランスが悪くなる理由は、
LDKという大空間をつくる1階に対して、
2階は細かく区切って個室をつくるため
1階への負荷が大きくなってしまうからです。
その上、明るくしたいLDKには
より多く窓をつくろうとする傾向があるので
なおのことバランスが悪くなってしまいますしね。
南北のバランスが悪くなる理由は、
採光のために南には窓をたくさんつくる反面、
北には窓をほとんどつくらないからです。
その上、多くの方が南に突き出してベランダをつくりますしね。
これらの結果、2階建ての家はバランスが悪くなってしまうため、
それを補うために耐震等級3の計算をし、
かつ制震ダンパーをつけなくてはいけなくなるというわけですね。
✔️バランスのいい家を建てるためには?
では、バランスのいい家を建てるためには
一体どうしたらいいのか?
それは、単純に先程の2つをなくせばいいだけです。
要は「平屋」にしながら
南北の壁量バランスがいい家にすればいいというわけですね。
平屋にすれば上からの荷重負担がかなり小さくなります。
その上、重心が低くなることによって
強風や重量車両通行による揺れを大幅に緩和出来ます。
なので、平屋にすることが一番高い安全性の確保だと思います。
そして、その上で保険のために耐震等級3を取ったり
制震ダンパーをつければいいのではないかと。
続いて、南北の壁量バランスがいい家を建てるための方法ですが、
これに関しては、そう簡単に実現出来るものではありません。
というのも、これを実現するためには、
そもそもヒアリングのやり方を180度変えなければいけないからです。
具体的には、
一般的なヒアリングが部屋の広さから部屋数や部屋の配置、
動線から収納の位置や分量に至るまで
それだけで間取りが固定されてしまいそうな要望を全て聞き出すのに対し、
これを実現するためのヒアリングとは、
間取りが固定されてしまいそうな要望は
基本的には聞かないというスタンスを貫かないといけないという感じですね。
聞き出せば聞き出すほどその要望を実現せざるを得なくなり、
結果、本当に大切な耐震性よりも
要望の方を優先する形になってしまいますからね。
おまけに聞き出した要望自体が、
その土地に必ずしもマッチしているとも限らないですからね。
そんなわけで、
バランスがよく高い耐震性のお家を
少しでもコストを抑えながら建てるためには、
この2つ目の要素がとっても大事だということを
覚えておいていただければと思います。
部屋の配置や動線などは
土地によってベストな形が全く違ってくるのですが、
その辺は安心してプロに任せていただければと思います。
それが結果的に自然と高い耐震性を持ったお家を建てる方法ですから。
それでは、、、
「こうしたい!」という要望を伝えつつも、
同時にその要望から遠く離れてしまうようなことを
伝えてしまうことが多いのが家づくりの困ったところです。
例えば「温度差の少ない快適な家にしたい」という要望を叶えるためには、
ただ単に断熱材や窓の性能が良いだけではダメで、
それに加えて幾つかの条件を備えておかないといけないのですが、
あまりに性能だけを重視する考え方が浸透し過ぎたせいもあるのか、
実際建っている家の多くは、
その性能の良さを殺してしまっているような気がします。
こんにちは
eguken myhome studio 江口です。
というわけで今回は、
ハイスペック(高性能)住宅のポテンシャルを最大に引き出せる
3つの基礎的要素についてお伝えしていきたいと思います。
3つ全てを網羅出来れば
より快適な住まいになるのはもちろん、
確実にコストも安くなるはずなので、
必要な知識として吸収していただけたらと思います。
✔️窓はより少ない方がいい
まず1つ目がこれです。
窓と壁とを比べた時、確実に壁の方が、断熱性能が高いからです。
ゆえ、出来るだけ不要な窓は減らした方がいいのですが、
そうすると暗くなるんじゃないか?という懸念点から
多くの方が窓を増やしてしまっているというのが現実だと思います。
まー、実際たとえ窓を増やしたとて
そのほとんどにカーテンをつけるので
明るくなるかというとそうでもないんですけどね。
それどころか、むしろ断熱性能を劣化させると同時に、
窓とカーテンに余分なコストがかかり、
経済的な負担だけが上がってしまっているといったところでしょうか。
✔️家はコンパクトな方がいい
2つ目がこれです。
面積が小さくなれば体積も小さくなり
家全体に冷暖房が循環しやすくなるからです。
ゆえ、なくても問題がない場所は
出来るだけ省くようにすべきなのですが、
先入観や見栄からか、部屋数や部屋の広さ、そして家の坪数にこだわるあまり、
むやみやたらと家を大きくしてしまっている方が
かなりたくさんいらっしゃると思います。
また、「廊下」は空気を遮断する
いわば断熱材のような役割を果たしてしまうため、
ハイスペック住宅では基本つくるべきではありません。
ゆえ、出来るだけ廊下をなくすように設計することも
とっても大切なことなんですよね。
実際、廊下がなくなれば、
空気が循環しやすくなると同時に廊下分だけコストが削減出来るし、
それだけじゃなく家の中のドアの本数だって削減出来ますからね。
✔️家は平屋の方がいい
そして最後の要素がこれです。
2階建ては上下の空気が確実に分断されてしまいますからね。
簡単に申し上げると、
夏は下が涼しいのに上が暑い、冬は下が寒いのに上が暖かい、
という環境が出来上がってしまいやすいというわけです。
ゆえ、2階建ての場合は、
この自然現象を緩和し家の中の温度差を最小限にするために、
冷暖房と換気システムを利用した空調システムを導入することを
オススメする住宅会社がたくさんいらっしゃいます。
もちろん、この空調システムはとっても良いものですし、
あるのとないのとでは快適性がものすごく違うと思うのですが、
しかし、これにも莫大なコストがかかる
ということも決して忘れてはいけません。
安価なものでも100万円ぐらいはするし、
メーカーによっては2、300万円する場合もありますからね。
しかも、電気製品なのでゆくゆく故障する可能性が高いし、
その場合、また途方もない費用がかかるかもしれませんしね。
そんなわけで、
そんなものが必要なくてもそもそも温度差を生みにくい
平屋にすべきだと思っている次第であります。
それだけでかなりコストが削減出来ますからね。
というわけで、
これから家を建てようと思っている方は、
この3つをぜひ覚えておいて、
建てる時にこの3つと反対のことを
伝えないようにしてもらえたらと思います。
「カーテンがいらないコンパクトな平屋」
これにハイスペックが加われば、
とっても快適に暮らせること間違いなしだと思います。
この写真の土地は、
間口約16.10m×奥行き約20.30mのきれいな形をした
約98.5坪の南向きの土地(分譲地の一画)ですが、
仮にあなたがこの土地に家を建てるとしたら、
どのような家をご想像されますか?
こんにちは。
eguken myhome studio 江口です。
さて、今回も前回に引き続き実在する土地を例に挙げつつ、
設計や土地の考え方についてお伝えしていきたいと思います。
前回は北向きで50坪をやや切る土地だったのに対し、
今回は南向きで100坪近くある
いわば前回と正反対のような土地についてお伝えしていくので、
「南向きの土地がいい!」とか
「広い土地がいい!」とお考えの方は、
ぜひ最後までご覧いただけたらと思います。
✔️この土地でやってはいけない2つのこと
まずこの土地でやってはいけないのが
「こんな広い土地なのに2階建てを建てる」
ということです。
平屋を建てたとしても莫大な余白が出来てしまうのに、
2階建てなんて建ててしまった時には、
さらに敷地に余白が出来てしまうだけ、ですからね。
仮に1階が20坪の家を建てるとなれば余白が78.5坪も出来るのですが、
そのうちどうしても必要なのが、家の周りの通路分として約10坪、
3台分の駐車場として13.5坪だけだとしたら、
(駐車場は1台4.5坪(2.5m×6m))
残りの約55坪はなくても良いと言っても過言じゃありませんからね。
であれば、平屋にすることで敷地の無駄な余白を少なくし、
外構工事にかかる負担を少しでも減らした方が
経済的にもそして維持管理の手間的にも絶対に良いですよね?
もっとも、余白を少なくすると言っても、
そもそも土地が広すぎるので限界はありますが・・
ゆえ、個人的にはその地域ならでは、の特別な事情でもない限りは
(その広さの土地しか売っていない)
こんな広すぎる土地は買わない方がいいと思っています。
具体的には、平屋を建てるにしても最大60坪、
2階建てにしたいなら最大45坪もあれば充分といったところでしょうか。
土地が小さくなれば、外構工事面積が小さくなる分、
外構費用は安くなるし、庭の維持管理も楽になるし、
そもそも土地の価格も抑えられるし、固定資産税だって安くなりますしね。
✔️南向きの土地の欠点
2つ目の「やってはいけない」ことは南向きならでは、のことですが、
「日当たりが良いからといって南向きの部屋に拘らない」
ということです。
というのも、写真だけでは読み取りにくいのですが、
この土地は分譲地の一画であり
奥に何軒か家が建つことになるため、
常時、家の前の道を奥の家の方が通ることになるからです。
つまり、南向きの部屋をつくり南向きの窓をつくったとしても、
見られている感が否めないことからカーテンが開けられない家になり、
思っていたような明るさや開放感を感じにくくなってしまう可能性が高い
というわけですね。
また、敷地も広いことから
大きなウッドデッキを南につくることも出来ますが、
それもプライバシーが担保されていなければリラックスして使いにくいため、
ほとんど使わないただの飾りになってしまう可能性だって充分考えられます。
ゆえ、実際暮らし出した時どうなるのかまで想像しながら
間取りを考えるようにしなければいけないんですよね。
もっともこの土地の場合、敷地が広いことから
部屋やデッキや庭のプライバシーをガッチリ確保出来そうな
要塞みたいな塀をつくることも出来ますが、
そんなのをつくろうものなら、
それだけで200万円以上かかってしまうので、
これはこれで全く現実的な話じゃありませんしね。
そんなわけでこの土地で家を建てる場合、
庭にまでたっぷりと予算がかけられるとしたら、
具体的には外構工事費用に4〜500万円ほどかけられるなら
全開南向きプランで考えても良いですが、
出来るだけ予算を抑えながら家を建てたいとお考えだとしたら、
「南向きの部屋に拘らない」ようにしていただけたらと思います。
光には「直射光」と「天空光」の2種類があるのですが、
直射光だけに頼って設計するのではなく
この2つの光を部屋の用途に応じて上手く使い分けることが
明るく開放的な家をつくる上で最も大切なことなので、
これをぜひ覚えておいてくださいね!
それでは、、、